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(元)社内SEの徒然なる日記

中堅企業の社内SEからみたプロジェクトマネージャ試験の意義

■ 社内SEとプロジェクトマネジメント

ちょっと前に、プロジェクトマネージャ試験が実務で役になっているという趣旨の記事を書いた(プロジェクトマネージャーに再挑戦、そして前年の敗因
)のですが、コメントで「社内SEにとってプロジェクトマネージャ試験がどのように役に立つのか教えて欲しい」という趣旨のコメントを頂いたので、自分なりにちょっと考えてみました。


・・・ということで、今回は真面目で退屈なお話です。ご了承下さい。

ついでに、結構な長文です。

■ 私たちから見たプロジェクトマネジメント

まず、プロジェクトっていうのは「価値を持つ何かを生み出す活動」で、プロジェクトマネジメントは「プロジェクトの目的を達成する為に行う活動」だと私は思っています。

この辺りは、wikipediaとかだともっと難しく、大層な事を書いているのですが、無駄に難しいので意訳しました(故に、あっているとは限りません)。

そこで自分を振り返ると、私たちの仕事って価値のある何かを生み出していないでしょうか?

設計、製造(プログラミング)、テストなんて作業をしている人は、まさに必要なシステムを生み出しています。開発を一切していないシステム部門でも、システムの導入(新規、更改を問わず)があると思います。これも、システムを利用する人から見ると、システム部門が必要なシステムを生み出したと見えると思います。

小さく落とし込んで行くと、パソコンの入替え(時期的にはWindowsXP対応とかかな?)なんかも該当すると思います。

こう考えると、私たちの仕事っていうのは、それ自体がプロジェクトと読み替えても良いのではないかと思います(もちろん、本当のプロジェクトの定義とはずれますけどね)。

■ 何をしなければならないのか?

では、これらの活動をしている私たちは、それを成功させる為にどのような活動を行っているでしょうか?

何もしてないって事は無いと思います。ベンダーに要件を伝え、相見積もりを取る、必要な作業の洗い出し、スケジュールの作成、予算の確保、実際の作業、進捗状況の確認、問題発生時の対応。やるべき事は山積みですよね。

これらの事は、主に管理職(課長職以上かな?)がやっていると思いますが、彼らが行っている活動がそのままプロジェクトマネジメントといって良いのではないでしょうか?

管理職未満の方にはイメージしてもらいたいのですが、ある日上司から「新しいシステムを導入する事にしたから計画を練ってくれ」って言われたらどうでしょうか?何をすれば良いのか、何から手をつければ良いのか、どのように考えれば良いのか、サッとイメージ出来るでしょうか?

これが大手の大企業であれば、何らかの作業標準(テンプレート)みたいなのが既にあるのかも知れませんが、おそらく中堅企業のシステム部には、そんなものは存在しないのではないかと思います。少なくとも、私の勤め先にはありませんでした。

その時の、考え方の道しるべになったのが、プロジェクトマネージャ試験を通して学んだ知識でした。

・・・はい、上の話は私の実話です。無茶ぶりだと思いませんか?

■ 知識だけで実践は・・・

資格試験全般に言える事ですが、勉強できるのは知識だけで、そのまま実務に当てはめて使う事は出来ません。

例えば、WBS(Work Breakdown Structure)というモノがあります。これは英字の通りで、作業を分解して構造化するという考え方です。ここにはプロジェクトで発生する作業の全てが漏れなく重複無く記述されており、これがスケジュールを作成するための重要な情報になるそうです。

って感じで、WBSというモノがあって、それが何で、何の為に必要で、作成する事でどうなるのかって言う事は勉強出来るのですが、じゃあ具体的にどうやって作るのかっていう部分は無いのです。なので、実務で生かす為には、勉強した知識に加えて、プロジェクトの性質、所属組織の状況を踏まえた上で一工夫が必要になります。

口を開けて待っていればご飯が出てくると思っている困ったちゃんは、この時点で「使えない」って決めつけそうですね(苦笑)。

実際のところ、プロジェクト管理のツールやソフトも販売されているし、無料のテンプレートなんてのもあるようですが、その手のものってレベルが高すぎて、スタートダッシュと同時に転びそうです。

■ 結局役に立たない?

じゃあ、結局役に立たないのかっていうと、私はそうは思いません。

それまでは右も左も分からなかったものが、知識を得たことによって進むべき方向は見えるようになります。そして人間には脳みそというものがあって、そこには考えるという素晴らしい機能が備わっています。であれば、後はどうとでもなります。

■ 実例

一昨年の暮れに、かつてない規模での開発案件が発生しました(基幹システムの電子記録債権への対応 Part1 始まり)。

この時に、ちょうど勉強中だったプロジェクトマネージャの知識を試してみようと、進捗状況や作業効率、その時点でのパフォーマンスからみた終了想定が確認出来る管理表を作ってみました。とは言え、新規画面、新規帳票、既存機能の改修とかなりの規模ですが、なにせ開発者は私一人です。私自身、これが役に立つとは思ってませんでした。

ところが、開発作業が進むにつれて、この管理表無しには進捗状況が見えないことが分かってきました。

開発の最初の方で、かなり進んだと思っていたのに管理表では10%に届いていない。んで、よくよく残作業を見ると、確かに管理表の数値が正しかったという状況が続いたのです。要は、開発規模が私の頭のなかで管理できる上限を超えちゃったんですね。

面白かったのは「後どの程度で作業が終わるのか」が数値として明確に見えるようになったことで、心に余裕ができたことです。期限まで後一ヶ月って時点で、私の感覚では残作業量や終了想定日なんてものは把握出来なくなっていたのですが、管理表をみれば残作業や、後何日で完了するのかが明確に分かるようになったんです。ゴールが見えることでの安心感ですね。

正直、プロジェクトマネジメントというには、あまりにも稚拙な手法だったのですが、その程度のものでも実務レベルで役立つことがここで分かったんです。

■ 嫌らしい話

まぁ、ここまでは綺麗事を書きましたけど、現実的にはもっと便利に使えそうです。

最初の方でも書きましたけど、プロジェクトマネジメントっていうのは、管理職が日常的に行っている(筈)の作業な訳です。そのため、管理職は部下に対して色々なことを言う訳ですが、プロジェクトマネジメントの知識を持っていれば上司の考えが見えるようになってくる訳ですよ。

そうすると、指示を出される前に準備したり、曖昧な指示でも上司が期待している結果を出せたり出来るようになっていきます。すると上司は「コイツ、出来るな」となり、こう、その、なんというか、評価が・・・

あと、社内SEでずっと開発者って人はどのくらいいるでしょうか?その内、嫌でも管理者としての役割を求められるようになっていくのではないかと思います。その時になってから慌てて管理者としての勉強を始めても間に合いません。プロジェクトマネジメントの知識は、そのまま管理職としての知識として使えるようなので、将来を見越して勉強しても損はないと思います。

■ 後書き

長文になっちゃいましたね。

ここまで読んで頂いた方はいるのでしょうか?私が読者なら半分も読まないような気がします(苦笑)。

それにしても、やっぱり曖昧な内容になっちゃいました。書いたことに嘘はないのですが、どう役に立つのかって趣旨とはずれている気がします。とは言え、そもそも勉強ってそういうものな気もします。

今日学んだことが、10年後に役に立つなんてこともありますからね。

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--- blog end —



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コメント


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実体験からのご意見で大変参考になりました。
一人システム担当でも、要は、これまで業界として培われてきた効率的なマネージメント手法のテンプレート(知識・考え方)が手に入り、自分の計画を客観的に見えるものに変えてくれるので、自分独自のやり方よりも効率的な管理ができる、というようなことでしょうか。
一人(もしくは少人数)なら計画を好き勝手にできてしまうため、その結果、甘えや誤算が生まれがちなので、自身を管理するために有効な方法となるかもしれませんね。

km | URL | 2014-04-10(Thu)15:46 [編集]


Re: タイトルなし

はい、言いたかったのは大体そんなところです。

書き漏らしたかもしれませんが、マネジメントを行うことで手間は増えましたが、そのかわり生産性が向上したというのは事実です。
しかし、匙加減はちょっと難しいかもしれません。厳しく管理をした結果ただ忙しくなっただけというのでは、まったく意味がないですよね。

たかたかハリコフ | URL | 2014-04-10(Thu)19:51 [編集]


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| | 2014-04-10(Thu)23:25 [編集]