社内SEの徒然なる日記

基幹システムの電子記録債権への対応 Part1 始まり

初めに

先日、私の勤め先の経理部門から、基幹システムへの電子記録債権の対応を依頼されました。

この基幹システムは、外注したフルスクラッチのシステムなので、外注先に丸投げする手もあったのですが、自力で対応する道を選択しました。
どう考えても、茨の道なんですけどね。

私が何を考えて、どう対応していったのか、戦いの記録を残していこうかと思います。

電子記録債権って何?

なんでも「電子記録を要件とする金銭債権」らしいです。
経理系の担当者ならいざしらず、システム屋の私には何のことやら、さっぱり分りませんね。

経理担当からの説明では「要するに手形の電子化」ということでした。
実は、このための法律が「電子記録債権法」として、2008年12月に施行されていました。

まぁ、システム屋がこのあたりを深く話すのも筋が違うので、深くは書きません。
電子記録債権」でgoogle先生に教えてもらって下さい。

なんで今さらなのか

法の施行が2008年12月(今から4年前)なのに、どうして今さら対応を依頼されたかというと、システムが整っていなかったので、まともに使えなかったようです。

電子記録を前提とするのであれば、当然の話として運用するためのシステムが必要です。
んで、このシステムを運用する組織を「電子債権記録機関」っていうらしいです。

法律(電子記録債法)を一通り見て見たのですが、この電子債権記録機関ってのになるには、かなりのハードルを越えなければならないようです。
金融商品の取扱の経験、システムのデータ保護体制(バックアップ)、兼業の禁止、などから、資本金の下限額まで法律レベルで制限されていました。最終的には大臣(つまり国)の認可が必要ということです。

私は、大手の金融機関のみ「電子債権記録機関」になることを認めるって感じに理解しました。

結局、2012年12月の時点では、三菱東京UFJ系の「日本電子債権機構」、三井住友系の「SMBC電子債権記録」、みずほ系の「みずほ電子債権記録」の3つだけ。
しかも、目的がグループ内での囲い込みらしく、大手企業以外には使いずらいものだったようです。

ということで、全国銀行協会(一般社団法人)っていう所が、電子債権記録機関として、全銀電子債権ネットワークって会社を設立。
そして、“でんさいネット”というシステムを2013年5月に稼働(予定)しようとしているらしいです。

経理担当の話では「電子債権の取扱は、今は数社のみだが、でんさいネットが稼働したら、多くの取引先が手形から電子債権に変更するかもしれない」ということでした。

※ ちなみに、現状で発生している数社については、ファクタリングで対応しているということでした。

何が手形と違うのか

経理担当は「手形と同じ」という言い方だったのですが、この手の話を真に受けて設計すると後で地獄をみるので、自力で調べてみました。

法律や、でんさいネットのパンフレットなどを熟読すると、たしかに手形に近いことが分ります。
手形と同じく、「****年**日に払います」という約束を前提としているようです。
また、裏書、割引、担保、不渡などの手形が持っている考え方も、そのまま継承しているようです。
たしかに、これだけだと手形に近いのですが、ことは単純ではないようです。

パッと思いつく違いは、こんなところでしょうか。

1.法律が違う

手形は「手形法」、電子記録債権は「電子記録債権法」で基本となる法律が違います。
さらに、手形法ってのはジュネーブ統一手形条約という、国際条約に基づいて制定されたものだそうです。

私の私見では、法律レベルで違うものを、同じ手形として扱ってしまうとまずい気がします。
今後の法改正もあり得ますしね。

2.分割可能

電子記録債権は、ほぼ無制限に分割可能ということです。
つまり、100万円の電子債権を受け取って、そこから30万円を別の支払に充てることが出来るってことですね。

データベースの設計次第ですが、これが手形との最大の違いではないでしょうか。

3.仕訳

仕訳も違うようです。
詳しくは調べていませんが、こんな感じになるようです。

 a) 電子債権の受取時の仕訳
 --------------------------
 電子記録債権 | 売掛金

 b) 電子債権の支払時の仕訳
 --------------------------
 買掛金 | 電子記録債務

 c) 電子債権の譲渡(100円を90円で譲渡)
 --------------------------------------------
 現金        90 | 電子記録債権 100
 電子記録債権売却損 10 |


4.言葉が違う

概念が同じでも、それぞれの名称が異なります。
例えば、手形期日は支払期日ですし、割引や裏書という言葉はなく、譲渡という言葉になるようです。

後書き

うーん、これは単純に「手形の電子化」としてとらえて実装するのは危険じゃないだろうか?
いっそのこと、現金(小切手)・振込・手形という金種に、新しく「電子記録債権」というのを追加すると考えた方が良くないだろうか?

もう少し、考えてみますかね。

ちなみに、既に稼働している大手3行の電子記録債権記録機関が、どの程度本気なのかをホームページで確認してみました。
まぁ、システム対応=本気度っていう計り方なので、あまり当てにはなりませんけどね。

三菱東京UFJの日本電子債権機構は、かなり本気のようです。
電子記録債権を「電子手形」と大々的に書いて、ホームページも一番充実していました。

それに比べると、三井住友のSMBC電子債権記録は、やや小規模で「支払手形のファクタリング」という言葉で扱っていました。電子記録債権については、でんさいネットが始まったら、その窓口業務を行うということを書いています。

みずほのみずほ電子債権記録は、まったくやる気が見えません。
上記の2行については、参考資料として印刷するに値する情報があったのですが、みずほは、電子記録債権に関する情報がほとんど見つけられませんでした。

なお、上記3行の共通の話として、でんさいネットが始まったら、その対応をするという節のことが見て取れました。

次回:基幹システムの電子記録債権への対応 Part2 基幹システム
投稿記事の一覧:目次

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